2024.04.22
万引き事件で誤認逮捕されたら慰謝料を請求できる?注意点や対処法を解説

万引きGメンが絶対にやってはいけないこと、それは「誤認逮捕」です。
スーパーや百貨店など、万引きをした犯罪者たちを取り締まるのが我々万引きGメンの仕事。
しかし、「今盗んだな!?」「怪しい!」と思った一般客に片っ端から声をかけていいかというと、そうではありません。
本当は盗んでいなかった。人違いだった場合、犯人だと間違われた人が「犯人呼ばわりするのか!」と激怒すれば、人権侵害や名誉毀損、損害賠償に発展する可能性があります。
それは万引きGメンとクライアント店舗との信頼関係が崩れるだけでなく、「この店は無実の客を犯罪者扱いする店だ」と地域で噂が立ったとき、店舗側に多大なる迷惑をかけることになってしまいます。
ですから万引きGメンに間違いは許されず、1%でも盗んでいない可能性があるなら絶対に声を掛けてはいけないし、100%・・いや180%盗んだという確証があり、それを証明できる状況にあるときにはじめて行動に移せるのです。
とはいえ、万引きGメンや店舗関係者による誤認逮捕事件は、少なからず存在しています。
そこで本コラムでは誤認逮捕が起こる原因をはじめ、誤認された側の注意点、慰謝料が貰えるかどうかまでロス対策専門会社が解説いたします。
万が一、ご自身やご家族、友人の身に降りかかったとき適切な対処をするためにも、是非参考にしてみてくださいね。
そもそも「誤認逮捕」とは、万引きしていないのに万引きの疑いを掛けられ、逮捕されてしまうことです。
また「冤罪」とは、万引きしていないのに逮捕、起訴され、裁判所の審理結果、有罪判決を受けてしまうことをいいます。
どちらにしても、身に覚えのない罪により不当な扱いを受けているという事実に変わりはなく、無実なのに犯人呼ばわりされたり犯人だと決めつけられてしまうため、当事者は精神的苦痛を伴ってしまうでしょう。
そのため解決策の一つとして店舗側に慰謝料を要求する方が多くいます。
逮捕には通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3種類があります。
この中で万引き事件の誤認逮捕になりやすいのは、現行犯逮捕です。
現行犯逮捕は逮捕状の発布が無くても逮捕できることや私人逮捕が可能であるため、万引きしたという確証が無く、犯人だと決めつけてしまったり、犯人を見間違ってしまうことで誤認逮捕となる可能性があるのです。
また被害者や目撃者の証言などから集められた証拠が誤認逮捕の要因となる可能性もあります。
万引き事件で誤認逮捕されると、取り調べを受けることになります。
自分の身を守るためにも、注意点や対処法を知っておくことが大切です。
裁判や取り調べにおいては、容疑者の人権や利益を守るために沈黙し供述を拒むことができる「黙秘権」が憲法で定められています。
誤認逮捕をされると「お前が犯人なんだろ?」「さっさと白状しろ!」などと厳しい取り調べを長時間受けたことで平常心を失い、早く釈放されたいという思いから嘘の供述をしてしまうことがあるのですが、一度した供述を裁判で覆すことはとても難しく、犯罪の証拠として扱われてしまいます。
これにより、状況によっては起訴、有罪となるリスクが高まってしまうのです。
時に自白を誘導するような意地悪な質問をされることがありますが、万引きしていないのに万引きした、などという嘘の供述をするのは絶対にやめましょう。
つい最近、こんな事件がありました。
2024年4月13日(土)滋賀県内の某スーパーで発生した74歳の女性の誤認逮捕事件です。
「いなり寿司(1パック 300円相当)」をカバンに入れ、そのまま店を出たのを目撃した店舗関係者が110番通報し現行犯逮捕に至ったのですが、女性は一貫して容疑を否認し続けていました。
警察が女性の知人男性に話を聞くと、店舗の休憩スペースで知人男性が購入したいなり寿司を女性に渡していたことが分かり、商品の在庫数と販売数に相違がなかったことから女性は釈放されたのです。
女性は結局、誤認逮捕から82時間以上も拘留された形になりました。
参考:釈放まで82時間!いなり寿司「万引き誤認逮捕」悪いのは警察か店かあの政治家か?議論白熱…「他人事じゃない」「対策しないとヤバい」の声も
この74歳の女性も、身に覚えのない万引き事件の疑いをかけられたせいで長時間拘束され精神的に追い込まれたことでしょう。しかし、一貫して容疑を否認し続けていたことで無実を晴らすことができたのだと思います。
何を伝えて何を黙秘するのか、慎重に進めていくことが大切です。
取り調べの内容を記録した「供述調書」への署名・捺印は義務ではありません。
また基本的に、一度署名すると訂正・変更することができません。
この供述調書は単なる取り調べの記録ではなく、後に裁判に発展した場合の重要な証拠の一つになるものです。
そのため、よく内容を確認せず署名・捺印してしまうと、後々不利益となる場合があるので注意しましょう。
突然、ご自身やご家族が身に覚えのない万引きを疑われ誤認逮捕されてしまったとき、上記の権利について知っている場合は少ないと思います。
そのため、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士から適切なアドバイスを受けることで、不利な処分が下される可能性を少なくできるだけでなく、慰謝料請求やその交渉などについても任せることができます。
無料相談を実施している弁護士事務所も多くありますので、活用しましょう。
さて、万引き事件で誤認逮捕されたら店舗に慰謝料を請求できるのかどうか。
万引き犯として誤認逮捕されてしまうと、店舗や警察署での取り調べを受け、場合によっては拘置所に長期間拘束(24時間以内)されたりと、学校や会社に行かせてもらえません。
誤認した店舗側に対し精神的な苦痛を受けたとして、慰謝料を払ってもらいたいと思うのは当然ですよね。
結論からいうと、慰謝料請求は可能です。
ただし、相手側に故意な過失があり、それを証明できる場合でないと難しいでしょう。
例えば万引き犯ではないと承知の上で犯人だと嘘の証言をした場合などです。
また万引事件においては店舗側が虚偽の申告をすることは考えにくく、その場合は店舗側の過失が問題になることが多いです。
しっかりと防犯カメラを確認したのかどうか、本人から事情を丁寧に聴いたのかどうかなど、適切な手続きを経た逮捕だったのかが重要となります。
これらの過程を経て、店舗側に過失がないと認められれば慰謝料を請求するのは難しくなります。
とはいえ店舗側に謝罪の気持ちがあれば交渉により慰謝料を支払ってもらえることもあるなど、損害の度合いは事件によって、人によって大きく異なるため、安易に判断することはできません。
実際に万引き事件に巻き込まれてしまった際には、誤認逮捕された段階で弁護士に相談し適切なサポートを受けるようにしてくださいね。
スーパーや百貨店など、万引きをした犯罪者たちを取り締まるのが我々万引きGメンの仕事。
しかし、「今盗んだな!?」「怪しい!」と思った一般客に片っ端から声をかけていいかというと、そうではありません。
本当は盗んでいなかった。人違いだった場合、犯人だと間違われた人が「犯人呼ばわりするのか!」と激怒すれば、人権侵害や名誉毀損、損害賠償に発展する可能性があります。
それは万引きGメンとクライアント店舗との信頼関係が崩れるだけでなく、「この店は無実の客を犯罪者扱いする店だ」と地域で噂が立ったとき、店舗側に多大なる迷惑をかけることになってしまいます。
ですから万引きGメンに間違いは許されず、1%でも盗んでいない可能性があるなら絶対に声を掛けてはいけないし、100%・・いや180%盗んだという確証があり、それを証明できる状況にあるときにはじめて行動に移せるのです。
とはいえ、万引きGメンや店舗関係者による誤認逮捕事件は、少なからず存在しています。
そこで本コラムでは誤認逮捕が起こる原因をはじめ、誤認された側の注意点、慰謝料が貰えるかどうかまでロス対策専門会社が解説いたします。
万が一、ご自身やご家族、友人の身に降りかかったとき適切な対処をするためにも、是非参考にしてみてくださいね。
*目次
万引き事件の誤認逮捕とは?冤罪との違い
そもそも「誤認逮捕」とは、万引きしていないのに万引きの疑いを掛けられ、逮捕されてしまうことです。
また「冤罪」とは、万引きしていないのに逮捕、起訴され、裁判所の審理結果、有罪判決を受けてしまうことをいいます。
どちらにしても、身に覚えのない罪により不当な扱いを受けているという事実に変わりはなく、無実なのに犯人呼ばわりされたり犯人だと決めつけられてしまうため、当事者は精神的苦痛を伴ってしまうでしょう。
そのため解決策の一つとして店舗側に慰謝料を要求する方が多くいます。
万引き事件の誤認逮捕が起こる原因
逮捕には通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3種類があります。
【通常逮捕】事前に裁判所から届く逮捕状に基づき逮捕する
【現行犯逮捕】逮捕状が無くても現行犯人を逮捕できる
【緊急逮捕】一定の重大犯罪に対し逮捕状の発布を受ける前に逮捕できる
【現行犯逮捕】逮捕状が無くても現行犯人を逮捕できる
【緊急逮捕】一定の重大犯罪に対し逮捕状の発布を受ける前に逮捕できる
この中で万引き事件の誤認逮捕になりやすいのは、現行犯逮捕です。
現行犯逮捕は逮捕状の発布が無くても逮捕できることや私人逮捕が可能であるため、万引きしたという確証が無く、犯人だと決めつけてしまったり、犯人を見間違ってしまうことで誤認逮捕となる可能性があるのです。
また被害者や目撃者の証言などから集められた証拠が誤認逮捕の要因となる可能性もあります。
【嘘の供述は絶対NG】万引き事件で誤認逮捕された時の対処法
万引き事件で誤認逮捕されると、取り調べを受けることになります。
自分の身を守るためにも、注意点や対処法を知っておくことが大切です。
・黙秘権の行使(嘘の供述は覆すことが難しい)
裁判や取り調べにおいては、容疑者の人権や利益を守るために沈黙し供述を拒むことができる「黙秘権」が憲法で定められています。
誤認逮捕をされると「お前が犯人なんだろ?」「さっさと白状しろ!」などと厳しい取り調べを長時間受けたことで平常心を失い、早く釈放されたいという思いから嘘の供述をしてしまうことがあるのですが、一度した供述を裁判で覆すことはとても難しく、犯罪の証拠として扱われてしまいます。
これにより、状況によっては起訴、有罪となるリスクが高まってしまうのです。
時に自白を誘導するような意地悪な質問をされることがありますが、万引きしていないのに万引きした、などという嘘の供述をするのは絶対にやめましょう。
【実際に起った誤認逮捕事件の例】
つい最近、こんな事件がありました。
2024年4月13日(土)滋賀県内の某スーパーで発生した74歳の女性の誤認逮捕事件です。
「いなり寿司(1パック 300円相当)」をカバンに入れ、そのまま店を出たのを目撃した店舗関係者が110番通報し現行犯逮捕に至ったのですが、女性は一貫して容疑を否認し続けていました。
警察が女性の知人男性に話を聞くと、店舗の休憩スペースで知人男性が購入したいなり寿司を女性に渡していたことが分かり、商品の在庫数と販売数に相違がなかったことから女性は釈放されたのです。
女性は結局、誤認逮捕から82時間以上も拘留された形になりました。
参考:釈放まで82時間!いなり寿司「万引き誤認逮捕」悪いのは警察か店かあの政治家か?議論白熱…「他人事じゃない」「対策しないとヤバい」の声も
この74歳の女性も、身に覚えのない万引き事件の疑いをかけられたせいで長時間拘束され精神的に追い込まれたことでしょう。しかし、一貫して容疑を否認し続けていたことで無実を晴らすことができたのだと思います。
何を伝えて何を黙秘するのか、慎重に進めていくことが大切です。
・供述調書への署名拒否
取り調べの内容を記録した「供述調書」への署名・捺印は義務ではありません。
また基本的に、一度署名すると訂正・変更することができません。
この供述調書は単なる取り調べの記録ではなく、後に裁判に発展した場合の重要な証拠の一つになるものです。
そのため、よく内容を確認せず署名・捺印してしまうと、後々不利益となる場合があるので注意しましょう。
・できるだけ早く弁護士に相談する
突然、ご自身やご家族が身に覚えのない万引きを疑われ誤認逮捕されてしまったとき、上記の権利について知っている場合は少ないと思います。
そのため、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士から適切なアドバイスを受けることで、不利な処分が下される可能性を少なくできるだけでなく、慰謝料請求やその交渉などについても任せることができます。
無料相談を実施している弁護士事務所も多くありますので、活用しましょう。
万引き事件で誤認逮捕されたら店舗に慰謝料を請求できる?
さて、万引き事件で誤認逮捕されたら店舗に慰謝料を請求できるのかどうか。
万引き犯として誤認逮捕されてしまうと、店舗や警察署での取り調べを受け、場合によっては拘置所に長期間拘束(24時間以内)されたりと、学校や会社に行かせてもらえません。
誤認した店舗側に対し精神的な苦痛を受けたとして、慰謝料を払ってもらいたいと思うのは当然ですよね。
結論からいうと、慰謝料請求は可能です。
ただし、相手側に故意な過失があり、それを証明できる場合でないと難しいでしょう。
例えば万引き犯ではないと承知の上で犯人だと嘘の証言をした場合などです。
また万引事件においては店舗側が虚偽の申告をすることは考えにくく、その場合は店舗側の過失が問題になることが多いです。
しっかりと防犯カメラを確認したのかどうか、本人から事情を丁寧に聴いたのかどうかなど、適切な手続きを経た逮捕だったのかが重要となります。
これらの過程を経て、店舗側に過失がないと認められれば慰謝料を請求するのは難しくなります。
とはいえ店舗側に謝罪の気持ちがあれば交渉により慰謝料を支払ってもらえることもあるなど、損害の度合いは事件によって、人によって大きく異なるため、安易に判断することはできません。
実際に万引き事件に巻き込まれてしまった際には、誤認逮捕された段階で弁護士に相談し適切なサポートを受けるようにしてくださいね。