2024.01.24

刑務所では治らない!窃盗症(クレプトマニア)とは?特徴や原因、治療法について解説

「窃盗症」や「クレプトマニア」と呼ばれる精神障害をご存知でしょうか。

窃盗症(クレプトマニア)は窃盗をおこなうスリルや緊張感、そして窃盗後の達成感や解放感を好み【窃盗】を繰り返してしまう病気で、逮捕回数が複数回に及ぶこともあります。

これは刑務所に入っても自力では治らないことが多く、社会生活へ支障をきたしてしまうことから軽視できない問題といえます。

もしご家族が何度も万引きを繰り返し行ってしまうのであれば、それは窃盗症を発症している可能性があるので慎重かつ適切に対処しなければなりません。

そこで本記事では、“再犯率が高い” “治らない”と言われる窃盗症(クレプトマニア)の特徴や治療法についてロス対策専門会社が解説いたします。

*目次

治らないと言われる万引きの病気「窃盗症(クレプトマニア)」とは?

窃盗症(クレプトマニア)とは、物を盗みたいという衝動や欲求をコントロールできなくなる精神障害です。
その9割が万引きによる窃盗ですが、空き巣やスリ、置き引き、放置自転車窃盗などさまざまな窃盗があります。

「お金が無い訳ではないのに万引きがやめられない」
「欲しくない物でも万引きしてしまう」
「周囲にバレて逮捕されても繰り返し窃盗をしてしまう」

などの問題行動が見受けられる場合には、窃盗症である可能性が高いでしょう。

また目的を持って窃盗を行う通常の万引きとは異なり“物にはそれほど関心がない”ことから、犯行後は誰かにあげたりこっそり返しに行くことがあるのも特徴です。

窃盗場所はスーパーや書店、ドラッグストアといった小売店での万引きを中心に、友人や家族、親戚内、そして職場での盗みなどがあり、本人は「やめたい」と思っていてもその高揚感や満足感から“盗みたい”という衝動を抑えられずに万引きを繰り返してしまうのです。
このように、窃盗症(クレプトマニア)は自分の意志で制御することが難しいため、日常生活や人間関係に苦しむ人も少なくありません。

窃盗症(クレプトマニア)になってしまう原因

窃盗症になってしまう大きな要因として、「強いストレス」や「依存」が背景にあるとされています。

例えば職場や家庭で感じるストレスや大切な人との別れ、いじめ、摂食障害、拒食症、過度なダイエットなどによって精神的・肉体的ストレスがかかったとき窃盗症になるケースが多いと言えます。

アルコール依存症の人が「飲酒する行為」で満たされるように、窃盗症は「盗む行為」で満たされない自分の感情を満たそうとしているのです。

主婦をはじめ、女性がなりやすい傾向に

窃盗症になる割合はだいたい男性が3割、女性が7割とされています。

特に家事や育児にストレスを感じた専業主婦が孤独感を強め、数百円ほどの小さな万引きを重ねることで節約ができると同時に、ちょっとした満足感を得られるという事からきっかけとなることが多く、買い物は日常の中で繰り返し行うことだからこそ、依存してしまうのです。

つまり節約のためとはじまった万引きが、ストレスのはけ口として常習化し依存症に陥ってしまうというパターンが多いため、窃盗症は女性が発症するケースが多いのです。

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窃盗症(クレプトマニア)は治らないのか

通常の窃盗であれば逮捕され罰を受けることで改心するケースがあるものの、窃盗症は再犯率が高く、治らない病気だと言われることが多いです。

実際、ほとんどの場合は専門家による治療を受けることで症状の悪化を防ぎ改善を期待できるものの「完治はない」とされています。
これは窃盗症に限らず全ての依存性に通ずるものがあり、脳が依存症になる前の状態に戻ることは難しいのです。

8割以上が2年以内に再犯している

万引きの再犯率は非常に高く、8割以上が2年以内に再犯すると言われています。
また治療を希望する患者のうち約8割が3ヶ月以内に治療から脱落しており、3ヶ月以上の治療を受けた患者でも約3割は治療中に再犯しているのです。

これは、万引きをすること自体がストレスの発散方法であり快感となっている事から、「盗みはいけないこと」だと理解しているものの自分の意志ではやめられないという、依存症ならではの症状となります。

逮捕後はどう違う?窃盗罪の「初犯」と「再犯」

窃盗罪初犯の場合、逮捕・起訴される可能性は低いですが、再犯にあたる場合や前歴がある場合などは被疑者に改心更生が見られないと判断され、逮捕・起訴される可能性が高まります。

ただし、初犯でも強盗罪や強盗致傷罪などの場合には逮捕・起訴されるケースがあり、逆に再犯でも不起訴となるケースがあるなど、一概には言えません。

これは初犯かどうか以外にも、犯行の計画性や、盗難品の金額、本人の反省の程度、被害者との示談が成立しているか否かなどの状況から警察官や検察官が逮捕・起訴の判断をしているのです。

窃盗症(クレプトマニア)の治療方法|治らない病気と諦めず、熱心に治療に向き合うことが重要!

窃盗症の治療方法としては、精神分析、洞察指向的精神療法、認知行動療法、条件反射制御法、薬物療法、心理療法などがあり、その治療方針はクリニックによって異なります。

この病気に対応できる専門医療機関はあまり多くはないものの、以下のような病院で治療することができます。

 【窃盗症(クレプトマニア)専門医療機関(関東)】 京橋メンタルクリニック
榎本クリニック
MRCラボクリニック
大石クリニック
クレプトマニア医学研究所

上記の他、ネットで「窃盗症(またはクレプトマニア)治療 地域名」と検索すると窃盗症治療に適した病院を見つけることができます。

最後に

日常生活で感じる強いストレスや不安、寂しさなど、それらの感情の穴埋めをして気持ちを落ち着かせるために窃盗を繰り返す「窃盗症(クレプトマニア)」。

依存性の強い精神障害であることから刑務所に入っただけでは治らない病気です。

もし、ご家族が万引きを繰り返し悩んでいるのであれば窃盗症治療の専門家に相談しましょう。回復にはご家族や友人など、周りの支えが必要不可欠です。

決して高くはない回復率ですが、万引き行為で得られる達成感や満足感を、今度は万引き行為をやめることで回復していく自分に対しての達成感・満足感へ置き換えるといったように、視点を変えることで楽に考えられるかもしれません。

受け止め方次第で状況は必ずいい方向に変わっていくので、「治らない病気だから…」と諦めず窃盗症完治へ向けて進んでみてくださいね。